シャドーイングが良いと聞いた。実際にやってみた。でも、数日でやめてしまった。
これは決してあなただけの話ではありません。むしろ、中国語学習者の多くが経験している「よくある挫折パターン」なのです。
シャドーイングは 「正しくやると効果が高い」けど、「初心者がそのままやると挫折しやすい」 という、非常に扱いが難しい勉強法です。効果的なのは間違いないのですが、やり方を間違えると、努力が水の泡になってしまいます。
この記事では、なぜ続かないのか、そしてどうすれば無理なく効果を出せるのかを、実践的に整理していきます。
シャドーイングが続かない一番の理由
難しすぎる素材を使っている
シャドーイングで挫折する最大の原因は、これです。
よく選ばれる素材
- ネイティブスピーカーの自然な会話
- 中国ドラマの音声
- 長い音声(数分〜数十分)
一見、「ネイティブの生の音声に触れるのが良い」と思えますが、初心者にとってこれらは難しすぎます。
なぜダメなのか
聞こえないものは真似できません。
シャドーイングは「聞こえた音を即座に再現する」練習です。つまり、音がある程度聞き取れていることが大前提なのです。全く聞き取れない素材でシャドーイングをしても、それは単なる「音の真似ごっこ」になってしまい、学習効果はほぼゼロです。
適切なレベルとは
- ゆっくりはっきり話されている
- 6〜7割は聞き取れる
- 10〜20秒程度の短い音声
背伸びせず、「簡単すぎる」と感じるくらいの素材から始めることが、継続と成長への近道です。
「効果が出ない」と感じる正体
成果が見えにくい
シャドーイングを数週間続けても、こんな風に感じることがあります。
- 単語が増えた感覚がない
- テストで測れない
- 成長を実感しづらい
なぜそう感じるのか
シャドーイングの効果は、単語帳のように「今日10個覚えた」と数値化できません。リスニング力や発音の滑らかさは、徐々に、静かに向上していくものだからです。
シャドーイングは蓄積型スキル
筋トレに似ています。1回やっただけでは筋肉はつきませんが、続けることで確実に体が変わっていきます。シャドーイングも同じです。
成果が見えにくいからといって、効果がないわけではありません。ただ、その変化があまりにも緩やかで、自分では気づきにくいだけなのです。
そもそもシャドーイングは何に効く?
3つの効果
シャドーイングが「なぜ良いのか」を理解しておくと、続けるモチベーションになります。
1. 音のつながりに慣れる
中国語は実際の会話では音が繋がったり、弱く発音されたりします。シャドーイングは、この「教科書には載っていない音の変化」に慣れるための練習です。
2. 中国語のリズムを覚える
中国語には独特のリズムと抑揚があります。シャドーイングを通じて、このリズムを体に染み込ませることができます。
3. 聞き返さずに処理できるようになる
シャドーイングでは、聞いた音を即座に口に出す必要があります。この「考える時間ゼロ」の処理を繰り返すことで、リスニング時の反射速度が上がります。
文法理解とは別物
シャドーイングは文法を理解する練習ではなく、「音の処理速度」を上げる練習です。だから、文法書を読むのとは全く違うアプローチなのです。
初心者がやりがちなNGシャドーイング
続かない原因になる行動
シャドーイングで挫折する人には、共通するパターンがあります。
❌ いきなり完璧を目指す
最初から音声と完璧にシンクロしようとして、できない自分に落ち込んでしまいます。
❌ 意味が分からないまま続ける
音だけを真似し続けても、意味とリンクしなければ効果は半減します。
❌ 毎日違う音声を使う
新しい素材に次々と手を出すことで、「やっている感」は得られますが、定着しません。
これらは全部、挫折ルート
完璧主義、意味理解の軽視、素材の乱用。この3つが重なると、シャドーイングは苦痛な作業になり、数日で続かなくなります。
初心者向け|正しいシャドーイング方法
おすすめ手順(最短ルート)
では、どうすれば効果的にシャドーイングができるのか。以下の5ステップを試してみてください。
ステップ1:短い音声を選ぶ(10〜20秒)
まずは1〜2文だけの短い音声を用意します。長い音声は禁止です。
ステップ2:スクリプト確認
音声を聞く前に、何を言っているのかテキストで確認します。単語の意味も調べておきましょう。
ステップ3:音読(意味を理解)
テキストを見ながら、意味を意識して音読します。発音も確認します。
ステップ4:ゆっくりシャドーイング
音声を0.7〜0.8倍速に落として、ゆっくりシャドーイングします。最初は音声より少し遅れても構いません。
ステップ5:普通速度でシャドーイング
慣れてきたら、通常速度でシャドーイングします。完璧に追いつけなくても大丈夫です。
最初は「影」にならなくていい
シャドーイング(shadowing)という名前から、「音声の影のようにピッタリ付いていく」イメージがありますが、初心者のうちはそこまで求める必要はありません。音声より1〜2秒遅れても、それで十分です。
毎日やらなくていい理由
継続 = 連続じゃない
「毎日やらなきゃ」というプレッシャーが、挫折の原因になることがあります。
実は、週3〜4回でOK
毎日やるより、週に数回をしっかり続ける方が効果的です。無理に毎日やろうとして、1週間で燃え尽きるよりも、週3回を3ヶ月続ける方が、圧倒的に成長します。
1回5分でもOK
「30分やらなきゃ」と思うと重荷になります。でも、5分なら今すぐできます。短い時間でも、継続することで効果は積み上がっていきます。
やめないことが最優先
完璧な練習を1週間やってやめるより、適当な練習を3ヶ月続ける方が100倍マシです。続けられる範囲で、無理なくやりましょう。
「続く人」がやっている小さな工夫
習慣化のコツ
シャドーイングを続けられる人は、特別な意志力があるわけではありません。続けられる「仕組み」を作っているだけです。
工夫1:音声を固定する
同じ音声を1〜2週間使い続けます。新しい素材を探す手間が減り、確実に定着します。
工夫2:時間を決める
「朝起きてすぐ」「昼休みの終わり」など、タイミングを固定します。気分で決めると、やらない日が増えます。
工夫3:成果を測らない
「今日はうまくできたか」をいちいち評価しません。ただ淡々と、決めた時間だけやります。
気分に左右されない仕組み
「やる気が出たらやる」ではなく、「時間が来たらやる」に変えるだけで、継続率は劇的に上がります。
シャドーイングが向いていない人もいる
無理にやらなくていい
実は、シャドーイングは万能ではありません。人によっては、別の方法の方が合っていることもあります。
こんな人は無理にやらなくてOK
- まだ音に慣れていない(ピンインが不安定)
- 発音に自信がない
- 意味理解が追いつかない
代替案:音読・リピーティングでも十分効果あり
- 音読:テキストを見ながら声に出して読む
- リピーティング:音声を聞いて、止めてから真似する
これらの方法も、リスニング力と発音の向上に非常に効果的です。シャドーイングより負荷が低いので、初心者には特におすすめです。
大切なのは「自分に合った方法」
シャドーイングが向いていないからといって、中国語が上達しないわけではありません。自分に合った学習法を見つけることが、最も効率的な成長への道です。
「できているサイン」を知る
見逃しがちな成長
シャドーイングの効果は分かりにくいと言いましたが、実は小さなサインが出ています。
成長のサイン
1. 疲れる
シャドーイング後に疲労感があるなら、脳がフル回転している証拠です。楽にできるようになったら、レベルを上げる合図です。
2. 口が回らない
中国語の音を追いかけていると、口や舌が疲れてきます。これは、普段使わない筋肉を使っている証拠で、発音が改善しているサインです。
3. 日本語が邪魔になる
シャドーイング中に日本語訳が浮かんでくると、処理が遅れます。この「邪魔」を感じるのは、あなたが日本語を経由せず中国語を理解しようとしている証拠です。
これらは全部、効いている証拠
「うまくできない」「疲れる」「混乱する」は、成長痛です。順調に進んでいるサインだと理解しましょう。
まとめ|シャドーイングは続け方が9割
シャドーイングは効果的な学習法ですが、やり方を間違えると挫折します。
継続するための3つのポイント
1. 難易度を下げる
ネイティブ音声ではなく、ゆっくりはっきり話された初心者向け素材を使う。長い音声ではなく、10〜20秒の短い音声を選ぶ。
2. 短くやる
毎日30分より、週3回5分の方が続きます。完璧な練習より、不完全でも継続する練習の方が、最終的には大きな成果を生みます。
3. 完璧を捨てる
音声にピッタリ付いていけなくても、1〜2秒遅れても、それで十分です。「できている」のハードルを下げましょう。
シャドーイングの効果は、正しい方法で続けた時だけ現れます
難しすぎる素材で完璧を目指すより、簡単な素材を繰り返し、気楽に続ける。これが、シャドーイングで成果を出す唯一の道です。
今日から、肩の力を抜いて、小さく始めてみませんか?

